一般社団法人日本美容皮膚科学会
理事長 山本有紀
2021年7月31日、京都市にて開催された第39回日本美容皮膚科学会総会・学術大会総会において理事長に選任されました。美容皮膚科学のために微力ながら邁進したいと思っております。会員の皆さまのご指導・ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
本学会は1987年に故安田利顕会長が「日本美容皮膚科研究会」を発足されたのが始まりで、1994年に本田光芳会長のもとに「日本美容皮膚科学会」となりました。その後、伊藤正俊理事長、古江増隆理事長、古川福実理事長、坪井良治理事長、川島 眞理事長、川田 暁理事長、森脇真一理事長と錚々たる先生方に引き継がれ、私が学会としては10代目の理事長となります。
ご存知のように、私はもともと皮膚外科、皮膚悪性腫瘍の治療を主な研究診療領域とし、美容皮膚科学との接点はありませんでした。1999年に和歌山医大皮膚科教授に就任された古川福実先生とともに、ケミカルピーリングの日本皮膚科学会ガイドラインの作成が美容皮膚科の門を開いたきっかけになります。紀州和歌山に、19世紀に大活躍された医聖華岡青洲がいます。彼の座右の銘は「内外合一、医惟活物窮理にあり」で、治療に関しては柔軟であり、良いと思うものは何でも取り入れるということです。さらに、
治療法には古今なく、古にこだわるものは今に通じない。内科を略しては外科の治療はできない。蘭方をいうものは、理屈ばかりで治療が下手である。漢方をいうものは治療がうまくても歴史にこだわりすぎ進歩がない。故に我が術は、治療を活物と考え、法は理を極めることによって自然と出てくる、という法則に随って、すべての病を療するのには、処方や調剤は必ずしも決められたものにこだわらず、薬の力が足りないものは鍼灸にて之を治し、鍼灸の及ばない所は、手術で治す。いやしくも人を活すべき者は宜しく為さざることなかるべし。(渡辺賢治 「漢方をめぐる国際的な動向について」 日本東洋医学雑誌 第55巻 第4号 2004年から引用)
美容皮膚科も同じだと思っております。いろいろな知識・技術を柔軟に取り入れ国民や患者さんの笑顔に貢献する分野です。いまや、本学会会員数は2811名になりました。美容皮膚科学は、国民のためにあるのであって、アカデミアとプラクテイスのバランスが必要です。このことを忘れず、学術性、透明性、公益性、専門性を高く掲げた学会運営を通して、国民の健康、安心、安全に寄与するために、微力ながら邁進したいと思っております。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
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