理事長に就任して



川 島 眞
日本美容皮膚科学会理事長

 2014年7月12日に浦安市で開催されました第32回日本美容皮膚科学会総会において理事長に選任されました。美容皮膚科学の発展に寄与するため力を尽くして参ります。皆様のご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 本学会は1987年に故安田利顕会長が「日本美容皮膚科研究会」を発足されたのが始まりであります。1994年に本田光芳会長のもとに「日本美容皮膚科学会」となり、伊藤正俊理事長、古江増隆理事長、古川福実理事長、坪井良治理事長と引き継がれ、私が学会としては6代目の理事長となります。研究会の時代を含めると30年近い歴史を有することになります。学会員数は正会員が1860名を超え、準会員などを加えますとほぼ2000名の会員数に成長しています。美容皮膚科の本邦での隆盛を反映した伸びを示しています。

 美容皮膚科学は皮膚科学を基盤として成り立つことは当然でありますが、ボツリヌス毒素治療、ヒアルロン酸注入治療などの導入により、脈管、神経の走行、表情筋の分布、SMASに関する理解など、皮膚表面から真皮までの知識での対応だけでは許されない領域となってきました。レーザー・光治療にしても真皮深層から筋膜レベルをターゲットとしたものが登場してきており、美容外科とのボーダーが極めて曖昧なものとなってきました。美容皮膚科医も美容外科の知識を身に付けることが要求される時代に入りました。一方で、化粧品も皮膚表面を清浄に保つのみならず、色素沈着やシワを改善する機能性化粧品の時代に突入しつつあります。美容皮膚科医は化粧品に関しても最新のトレンドを知る必要が出てきました。

 そのような時代背景を踏まえながら、日本美容皮膚科学会がこれから歩むべき方向性を考える必要があります。一つは、美容外科医と反目するのではなく、互いの知識、技術を交換し、補完しあうことが一層重要になると思います。さらには、香粧品に対する知識を深め、その機能を美容皮膚科に積極的に取り入れることも必要と思われます。これまで以上に、美容外科医、化粧品研究者の本学会への参画を促すことも考えなくてはならないでしょう。我々のゴールは、単に皮膚表層の形状を整えることではなく、顔面のみならず身体のバランスのとれた美しい立体構造の構築であり、それが心の豊かさにつながり、人生を楽しく生きることを実現させることにありましょう。それこそが、やや薄っぺらく捉えられてしまうこともある、「美容」という言葉の持つ本当の意味ではないかと思います。真の「美容」の具現化を担うべき者として、切磋琢磨しようではありませんか。

 以上、理事長就任にあたり、ご挨拶と所信を述べさせていただきました。これから3年間、何卒宜しくお願い申し上げます。

2014年7月